行きつけの酒屋さんがあって、年末の忘年会の準備のため足を運んだ。
そこにはお酒だけではなく、美味しいものが隠してあって、
何かある? と聞くとこれが美味しいんだよと出してくれる。
だいたいにしてそれらは驚くほど美味しい。

今回はさばのみりん干しだった。
特別に取り寄せて、利益がないから、日本酒とは別の会計になる。
そういう本当に美味しいものの味を知らないで生きている人はたくさんいる気がする。
ぼくは少なからず知らなかった。
今の世の中は偽物の時代だと思う。それらしきもので誤魔化されている。
それがいいか悪いかはまた別の問題だが、ものが溢れる豊さの偽装はそんなところにある気がする。

何でもないみりん干しだ。
そこらへんに便利にあるお店で売っているものは適度に美味しいか、たいして美味くないかどっちかだ。
でもこの感動するほどに美味いみりん干し、きっとただ正直に当たり前に、作っているに違いない。
いつの間にかこの当たり前の味を忘れてしまっているものが世の中にはたくさんある気がした。

先日、インテリアの歴史を聞いたのだが、低価格化がデザインの低下を招いているらしい。
売値が先にあって削れる手間はすべてそぎ落として行く。
その結果、多様性はなくなり同質化を招いているらしい。

それが時代に取り残されるだけだと罵られても構わない、当たり前のことを当たり前にする、
さばのみりん干しを頬張りながら、そんなことの大切さを噛み締めるのだった。
 

 

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