僕がブランドをはじめた理由 2/4 『仲間』:ゆるゆるnotes

僕の周りの人達はどんどん結果を残して、成功の形を作っていく。
何をすると失敗し、何をすると成功するのか。
いろいろな背中を実際見ることが出来る。
ましてや、成功の背中は非常に貴重な背中である。
うちの工場はたいしたものでもないのにどうやら
ファッション座敷童的な物がおそらく住み着いているから、そういう背中を見る機会に恵まれる。
迷ったときは、こういう時は何々さんならどうするだろうと考える。
だいたいそれは適切で最善の答えである。

うちはここ数年、自分のブランドをはじめるという人が多く訪れる。
1年でやめてしまうブランドがどれぐらい多いかについて言う。
続けない人のために、自分たちも本当はその労力は投資したくない。
1年目など、お金が消えるだけで儲かるわけもない。
消えていくだけのお金を目の前に、ましてや期待ほど売れず、期待ほど見て貰えず、絶望する。
見ている限り、3年は必要だという話をする。それだって分からない。
予備知識で分かっていたって、実際は悔しい物である。
ましてや華やかな物を夢見ていただけなら、その白鳥は池に沈んでいくだけである。
そんなことを偉そうに言いながら、自分もその難しさを体験する。
有り難さは、そう他の人に言っている都合上、自分がすぐに投げ出せないことにある。
どんなこともはじめは儲からない、儲かる様にするには時間が必要だと言う自覚が少ない人は非常に多い。そんなことを口では偉そうに言うわけである。
逆に言えば、たかだかそれだけのことである。
待ち、育てる、という美学を、結果がすぐに手に入るこのサイクルの早い現代においては忘れがちな人は多い、
じっくり待ちながら、そこに工夫と知恵を与えていく。
育つというのは一日ごとでは目に見えない。
何ヶ月もして見比べてみてやっと気がつく物かも知れない。

ゆっくり育つ方が、丈夫に育つ。
無理して大きく育てると、突風ですぐに折れる。というのはまた別の話か。

関わる加工屋にとってもそういうブランドは、少ない数を高くやる加工屋以外は儲かりはしない。何か好きなことをはじめた、しかし誰も儲けさせてはいないと言うところからはじまる訳である。
数年後、もし他人を儲けさせた自分という物を心から喜べる自分にその時なれているとすれば、それは本質的に多くの他者を動かす力を持った人物が持つ特質だと強く感じる。

3年にはいろいろな意味が含まれている。
例えば1年目roomsのような総合展示会に出す。
バイヤーはすぐには手を出さない。
何年かそれを続けてみて、やっと声を掛けてくれる。
バイヤーにしたって、1年でやめてしまう様なブランドに声を掛けても時間の無駄というものだ。
続けているというのは十分ブランドとしての重みにも、信用にもなる。
ということを友人が教えてくれたりする。
デザイナーはデザイナーでそういう期間にノウハウの基盤を育てるわけだ。

子供の頃から僕は職人さんに囲まれて育った。
職人さんがどんな風に考えているか、うちに来るデザイナー達よりは十分分かっているつもりである。
それもまたさまざまな人が関わる物作りにおいて重要だと思った。
こうしてこうすれば、そうしてこうあって欲しいという。理想がある。
誰かを下に見る物作りなんかいやなんだ。
工場や職人を下に見るような人とは仕事をしたくない。
物を作るその繋がりのあり方にも僕は興味があった。
理想がある。それも自分が他の人に頼むという形で、試して見たかった。
その自分が思う最善の物作りの理想型を自分が実践してみたかった。
簡単なことである。
関わる様々な人が素敵な気持ちで関わってくれたら、どんなものより素敵な物作りに繋がっていくという信念である。
作り手の心や他者の心を疎かにして物作りをする人が本当に多いから。
それじゃ絶対にある壁を越えられない。
だってそうでしょ、誰もそんな人のためには本気で関わらないもの。
利己主義者の不器用だなんて言葉は免罪符にはならないよ。

数年前、僕はmintdesignsの八木さんがある講演会で言っていた。
何かの流れで、セントマーチンでなぜ首席を取れたのかについて語った言葉が忘れられない。
日本と違って、その評価は最後の作品ですべて決まる。
途中の評価というのはない。
学校生活のすべてが最後の卒制に凝縮される。
それは何かというと、学生生活の中で、どれだけ仲間を作れたかについて。
本当にいろいろな人が助けてくれた、困ったときに手を差し伸べてくれた、学生生活の中で大切な仲間を作れたから自分はそういう結果を得られたんだと。
そんな風なことを言っていた。
もっと、素敵に言っていた様な気がする。
後で、ひろくんずっと寝てたわよねと言われた。
寝てない。ほらちゃんと聞いている。
落書きしていたから、ちゃんと覚えていないけど。

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