足を運んでみて

前回の「足を運ぶこと」はこちら

ある友人の本に、なくなっていくから、守りたいと書いてあった。
何を言っているんだ。
おまえが作っている量は、守れる量じゃない。
ビジネスはうまくいっているが、技術者を儲けさせるような構造にはならない少量生産を核としているじゃないか。
そのビジネスモデルはそれを言えるような構造じゃない。

勘違い甚だしい、やらせて貰っているんだ。
守るどころの沙汰じゃない。
それぞれの工場に大きな仕事があって、それがあるから、その工場は維持されている。
その維持されている隙間に入れて貰っているだけの話なんだ。
うちの仕事だってその程度のものだ。大きく動いている隙間を生かさせていただいているに過ぎない。
お陰様で物作りが出来ているんだよ。君によって守られているからじゃない。
本当に守る気があるなら、そのビジネスモデルじゃ嘘だってまず気付け。
本当に思うなら、行動に移せ。
お偉い先生になりたくなければだ。

と、今度こそ、本人にちゃんと言おうと思う。
って言いながら、じゃあよろしくと、お願いしたいことがあるのでちょうどいいや。

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八王子の外に意識が向いたのは、みやしんの廃業とテキスタイルマルシェという場との出会いが大きかったと思う。
みやしんさんがなくなる時、なくなるのかあーーと思った。
半年後にテキスタイルマルシェに参加させて貰った時、こんなに魅力的に物作りをしている人がいるのかあ。なんて希望なのだ。なんてワクワクするのだ。と、思った。
自分はものすごく世間知らずだった。今さらの話だけれども。

はじめは、何で誰ももっとわかりやすく日本全国にどんな工場があるのかまとめないのだ。
綺麗な情報にしないのだと思った。
聞いたら、どれもやろうとしてうまくいかなかったと聞いた。
どうしてそうならないかは今は何となくわかる。

そんな思いから、いろいろな場所に足を運びたくなった。
はじめは本当に仲間内からだった。
興味は、自分のいる東京近辺の高齢化してしまった身近な世界から広がって、日本のテキスタイル産地についてへと広がっていた。

産地ごとに存在していたものが、だんだん廃業や倒産が増えて、虫穴ばかりになった。
布を生み出すのは、あらゆる段階が存在する。一社だけでまかなうようになっているのはまだ少ない。
虫穴が増えれば、産地外に頼むしかない。
これからの産地はその地域から、日本全国になる。
ならざる終えない。
それほどに、おそらく淘汰されるだろう。
と、聞いた。

日本の産地は10年後には全部なくなると、3年前に言われた。
じゃああと7年か。
身の回りでやめていく会社、年齢も高く仕事が続けられなくなる人、年々、そこにあった景色がなくなるリアリティがたんたんと進んでいる。たぶんそれは布の世界だけの話ではない。
日本という場において、その人しかすでに携わっていない高齢の技術者というのは多い。
すべて守ろうなんて、きっとそれは空論になって、何も生まない。
文化や生活のスタイルが変わるのであれば、ある部分でなくなっていくことは仕方ないこと。ただ、ある部分で仕方なくはないこともあるかもしれない。
大切なことは仕方なくないと思うことがあるとするなら、積極的にそう思う自らが関わるしかないだろうということだ。
たぶんそれは仕事だとするならその人にとって、とても価値のある仕事になってくれるだろう。
守るというのはその程度の小さな世界の話である。
そして守るから、生み出すに。僕らは前に進んでいるのだから。
大きな工場も、個人に近い小さな工場も、文化の積み重ねによってある最新鋭の工場も、古いままで非効率な小さな工場も、誰かに必要とされて確かにそこに存在している。

僕は若造で生意気だから、一番はじめは、もし産地がなくなってしまうとしたら、それを守れる方法はないのか。何か出来ないか。
全国を知りたいという思いはそこからだった。もっと魅力的な日本の物作りは発信出来るはずだと。
先輩たちが引退していく光景に対しての思いが一番だったかもしれない。
でも足を運んで知ったのは、はっきりと自分なんかより素晴らしい、敵わない人たちが、目をキラキラさせながら僕なんかよりもっと本気で今の世の中に向き合っている現実だった。
何かが出来ればなんて、なんて偉そうな考え方だったろう。
未熟者にありがちなあれだ。知らないというのはそういうことだ。

工場見学というのは相手の手を止める。
迷惑な話だ。とってもじゃないけれど気軽には行けない。
それでも、丁寧に対応してくださる方がたくさんいる。

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いろいろな産地や工場の魅力に触れて一番に感じたことは、工場を回る最大の価値は、
どんな物との出会いでもなく、その場にいる人との出会いだった。
この人と出会えた。この人と出会えてよかったという思いだった。
回るたびにそんな素敵だと思える人たちが増えていく。
僕らはそこにある素敵な人が仕事に向き合っていることを知る。
そんな場所からはじめられる物作りの魅力がある。
ましてや、この人の作るものは素晴らしいのだと僕らは言うことが出来る。

どんな機械があって、どんなコストだから頼もうという判断は非常に表面的だ。
同じ機械が並ぶ工場があったとしても、その工場に関わる人たちの顔が心が形になる。
だから、仕上がる物はそれぞれの顔をはっきりと持つ。
機械が作るのではない。
人が、作るために必要な道具を並べて作っている。
そんなことさえ知らないプロも多い。
この世の人の使う物のすべてに必ず人が関わっていることに自覚的になることはきっと僕らを幸せにする。

この人と作りたい、もしそう思えることがあるとしたら、それほどにエネルギーを込められる方法はないかもしれない。
物作りはコミュニケーションから始まる。
お互いがお互いを知るためには時間が掛かる。
お互いの方法を生み出していくことだって時間が掛かる。
ただ、消費しあうその場限りの関係よりも、育っていく関係こそが希望に思う。
その1歩1歩に確かな価値がある。
人が関わることで、僕らは関わらなかったらたどり着けなかった場所へ行けるはずなのだ。

出会いがなければ生まれてこなかったものは数知れない。
何かが、誰かが欠けたらそうはならなかった。そういう人の繋がりが、出会いがこの今を生み出している。

自分もそろそろ何かをはじめる準備をしよう。
いつまでも勉強していたって、行動しなければ意味もないのだから。
それに今は、たくさんの協力してくれる素敵な仲間がいるのだから。たぶん。

あっ、写真は、去年訪れた尾道水道の朝と夜だよ。

足を運ぶこと

最近ずっと、いろいろなデザイナーを連れて、全国の繊維産地をお邪魔している。
3泊4日のこともあるし、日帰りのこともあるし。
昨年末は岡山、倉敷、尾道、今治へと回ってきた。
今治のタオル、岡山から広島にかけては、ジーンズに帆布。その他にも様々な工場がある。
その前に時間をかけて行った時は、一宮と西脇、一宮はウール生地、西脇は先染めの綿織物の工場にお邪魔した。
その前は京都に丹後。新潟に富士吉田、花巻に浜松…
本当に様々な方にお世話になってきた。

そんな産地巡りをわざわざ1ヶ月、2ヶ月もかけてセッティングすることは、自分なりに大いなる目的があるのだけど、それを伝えるのは難しい。
とにかく自分が行きたい。
ひとりで行くというのも気が引けるので、みんなに声をかけて行くか行かないか聞く。
せっかく行くならなるべくまとめて行った方がいい。
見学なんて、相手先の仕事の邪魔になるのだし。
なぜそんなにみんなに声をかけるんだと言われるけれど、仕事の邪魔になるなら、なるべく1度で済ませたいという。
行きたい人がいるなら、一緒に行こうよって言う。
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ちなみにそんな様子を上げてくれている人もいるので一部。

secoriさん『尾州訪問』
http://tokyo-mbfashionweek.com/jp/curators/blog/6370/
大小さん 『今までで買った一番高い服ってどんなの?』
http://people.zozo.jp/taisyou/diary/4164835

足を運ぶと、そんなこんなで、会社内の人たちですか?
いったい、何の集まりですかと聞かれる。
それはそうだ、何の集団だか自分でも分からない。
東京だから素敵なデザイナーと出会うことが多いのでと言っても
工場に関わっていないデザイナーまで混ざっている。そもそもデザイナーだけでもないし。
じゃあ、大学の集まりですかとなる。
そういうのが仕事かと言ったら、僕は建物的にも経済的にも今すぐ潰れそうなおんぼろ弱小工場をどうにかこうにか維持している身でしかないわけで。

10年前、先代はうちの工場に若い人が来ると、他の工場を紹介して、ついでに他のプリント工場を紹介して、
自分はもうあまり仕事をする気はないので、全部に断られたらやるから言いなさいと言った。
そういうのいいなと背中を見ながら思った。
だから、僕の人との関わりにとって、そんな姿勢はとても大切なことのひとつだったりする。

それで先代は今度は、工場で仕事をするとなれば、本人たちが現場に来なければ絶対にやらないと言った。
工場からすれば、来られるのは面倒なのだけど、大切なことはたぶんそんなことではなかった。
はっきりと先代の経験としたら、現場を知って仕事することが、その経験や感覚がこれからブランドを立ち上げる若い人たちにとって非常に大事なこと。リアリティの無自覚な欠如が現代社会においての不幸だと言うことについて。物質的に満たされることの犠牲になっているかについて。知らないことは人をどれほど傲慢にするかについて。
逆に言えばその当時、特におざなりにされていた部分だという明確な意識があったのだと思う。
デザインと現場が離れて出来るものというのは非常に紙面的だし、精度が落ちる。
それで済めば済むという仕事になってしまいがちだ。
そこにモノづくりの魅力や本来の生命力があるかと言ったら、それはちょっと違う。
効率的な工業生産が、効率的であればいいのかといったら、その上で出来る次元がある。
多くの人は、商業的である事以外に大切な物を持っている。それはある種の危機感だ。
美しい仕事は整理と構築から育てられた合理性による。
構築された物の上に乗るだけでは、駄目なんだ。
世の中が進むなら、大切なはずなのに疎かにされている部分を整備する必要がある。
だから想像の不足が必要なのではなく、リアリティが必要なのだ。

見て、感じて、知る世界が物事の精度や質を上げる。
知らないことを知らないことには気付かないものだ。
それでいいでする仕事に前進はない。
知らない方がいいなどというのは、怠惰な人間が仕事をさぼる口実に過ぎない。
気付かない方がいいことなどない。気付いた上でどうするかが大事なのだ。
これがいいのだ、それなのに足りないんだという視点を捨てたら前に進まない。
留まろうとする、その一歩も二歩もその先に世界は広がっているのだ。
大切に思うものについて、見て見ぬふりをする方が楽だから、見えないふりをして、現状に留まる。
それでは、一生のうちで仕事という大きな時間をかける、役割の上に立つ意味がないと感じてしまう。
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これからのものづくりを考えたとき、一番はじめにしたかったこと。
生まれ育ったこの世界を知ること。
そして身の回りにいるデザイナー達とともに、物作りの質を上げていくこと。
そしてそれが個々において非常に純粋な追求であり、ハッピーなものであって欲しいという願い。
惰性で仕事するのではなく、可能性に向き合うこと。
現状で何が出来ていて、何が出来ていないのか。そして、何をする必要があるのか。
この業界に身を置いた時、その視点を明確にしないでデザインや製品を生み出していることが、あまりに罪深いように感じてしまった。
テキスタイルデザインと言って、どれほどの物が本当にしっかりと生み出されているのか。
どれほどのものが可能性と戦っているだろうか。
肩書きだけの仕事では仕方がない。
謙虚さのないデザイナーの作る物は表面的な世界を脱することが出来ない。
なぜなら、この仕事において他人が関わらず生み出される物などないからだ。
分散した技術の粒子を形にするためには、その点が見えなければいけない。
その点がどれほど細かく明確に見えるか。
感覚を研ぎ澄ませ、見抜かなければいけないのだ。
布は生き物だという。
その幾重にも変わる表情を見抜いてはじめて、そこに必然性と生命が宿る。
存在の美しさとはそういう物ではないだろうか。

展示会で僕らはたくさんの並べられた布を見る。
そこだけを見て、どんな価値を知ることが、どんな価値に気づくことが出来るか。それはとっても難しい。
埋もれてしまうと言うのはそのことについてだ。
それでも、そこからいいものを見抜くという話はあくまで一面的な話だ。
生まれた場所を知り、その作り手を知り、その土地の空気を知る。
生まれてくることへのリアリティが、僕らのたいしたことのない目でも、その存在に対して焦点を合わさせてくれる。足を運んではっきりそのことを実感した。
そのものが持っているエネルギーを知れたら、自分のクリエーションに焦点が合った形で生かすことが出来る。
工場のある風景で育った僕にとって、それがとても大切なことなだけかも知れないけれど。
それでも、誰かがそこで生きているって、とっても好きなことなのよね。

4月の一宮から西脇への産地巡り。
あるブランドの10月の展示会を訪れたら、訪ねた道が、服になっていた。
あの場所で出会った布、次の場所で出会った布というように。
すごく忙しい人なのに、僕に付き合ってそのとき長い時間を空けてくれた。
一緒に回った時間の記憶をたどるようにそれは形になっていた。
そしてどれも、その布の欠点を消して、長所を生かすように作られている。
布が窮屈そうでもなく、疲れた顔でもなく、すっかり笑顔でそこに存在している。
セッティングししてよかった。なんて形で返してくれるんだろうと思った。

小さなはじまりが、いつか確かな形に結びついてくれるように。
結局はただ、工場見学しているだけなのだけども。
それでも、ちっぽけな自分は日本の物作りの魅力的な未来に憧れているのです。

そんなこんなで、久々にブログ更新していきます。
次のタイトルはきっとこの続き、「足を運んでみて」です。

phro-flo 2014

『知らない街から君は来て、君は知らない街へ行った』

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phro-flo 2014 fourth collection 新作ゆかた受注販売会
2014年05月16日(金) 〜 05月19日(月)
 11:00 〜 20:00 (最終日は16:30まで)
phro-flo 2014年新作浴衣受注販売会を行います。

また、浴衣と同じデザインの手拭いなど、その場でお買い求め頂けるアイテムも揃います。
さらに、nangoo GLASS ACCESSORYさんのご協力を得て、
浴衣や洋服などで使える、ガラスアクセサリーや帯留めなども揃います。
一般の方向けの受注販売会となります。どなた様もお気軽にご来場ください。

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A.S ANTIQUES GALLERY

〒150-0021東京都渋谷区恵比寿西1-31-15 2F(1Fセブンイレブン)
代官山駅正面口 徒歩1分 ,恵比寿駅 JR西口 徒歩7分

Photo : katomi (milkywings) H&M : Noriko Tokita (milkywings)  Model : RUKO  Accessory : nangoo GLASS ACCESSORY

「秋の焼きたてパン祭りファイナル~あの夏を忘れない~」 proto(egg)product project × 奥田染工場

パン部のみんなと
素敵盛りだくさんの『もみじ市』に参加しますよ!!

大人の文化祭だって。
いいのか、みんな若いぞっっ。

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日時: 10月19日(土)11:00 ~ 16:00
20日(日)10:30 ~ 15:30

場所: 東京オーヴァル京王閣(東京都調布市多摩川4-31-1 京王多摩川駅より徒歩0分)
入場料は無料です。

「BREAD FAST CLUB」(通称、パン部)の最後のイベントになります。

今回はパン部の総括を込めて、

・好評だったトートバッグワークショップやります!! 

・ワークショップが主体だけど、販売もやるよ。テーマがカラフルって聞いたんで、まじめにもみじ市だけのカラフルやります!!

・シェフの思いつき、焼き上がりパンの提供。現地でパンT を作る現場を公開します!!

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バッグにバターナイフをでインクを塗るワークショップです。
ワークショップは当日予約のみになります。
開場後、すぐの予約開始となります。

19日
11:30~11:50
12:30~12:50
13:30~13:50
14:30~14:50

20日
11:00~11:50
12:00~12:50
13:00~13:50
14:00~14:50

当日、予約シールを配ります。なくさないでね。
インクを塗らず、バッグだけが欲しい方にはバッチが付きます。(バッグだけの購入が可能です)
多めには用意していますが、なくなり次第終了となります。

19日、20日ともに、ワークショップ用の在庫は確保されていますので、ご安心ください。
関西でしか提供しなかった、ショルダーバッグも数量限定ですが、選択可能です(なくなり次第終了となります)

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そして、カラフルパン

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用意されるのは、いつものブラウンを中心に、レッド、イエロー、ブルー、グリーン、パープル、ピンク。
もはやパンなのか、なんなのか、判別が付かなくなってきております。

なんだ全部で7色か、カラフルか、それって本当にカラフルか。

ってことで、

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当日、どんどん、新色が追加されていきます。
シェフの気まぐれであります。仕込みはしっかりやります。
スーパー数量限定のレア商品でございます。
気まぐれなんで、やりださなかったらごめんなさい。

でも気まぐれのくせに、キラキラしております。
黄金に輝くパンが焼けてきたり、魔法のようなパンが焼けてきたり、不思議大事件が起きるかもしれません。
僕の勇姿を見せたいので、大小さん、観覧席作って。観覧席。

最後だから、みんなにパン焼く現場、自分たちで一点一点作った時間を見せたいねって話になったんです。

プラスアルファ、今回は、パンTサイズ展開します。

Sizeは

ショート(S)
トール(T)
グランデ(G)
ベンティ(V)

わかりにくいけど、がんばって想像してみてくださいっ。

以下、特別販売だよ!!

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『マッシュ』に登場した、mame-DのTシャツ、mame-Dワンピースを販売します。
豆大福Tシャツは菊池亜希子さんと豆大福W主演の映画『豆大福ものがたり』の衣装用に依頼されて作ったものです。
10月26日(土)~11月1日(金)一週間限定レイトショー、神保町シアターで公開になります。
パン部一同エキストラで出てますので皆様ぜひ見に行ってください。
要注目です!!

 

そんなこんなで、盛りだくさんの今週末。

もみじ市は、すごく広くて、素敵なお店がギュッと集まった年に1回のめっちゃ魅力的なイベントですよ。
この機会に是非っ。

それでは、ぜひぜひ遊びに来てください!!

気まぐれパンがんばって焼きます!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

~よもやまばなし~

ある日、かわいい布博でお世話になった、手紙社の方から一通のメールがありまして、
2年ぶりに開催する『もみじ市』にワークショップを出展してほしいという連絡をいただきました。
どうしようかな、なんかつまらないワークショップおいらしたくないなああ。

なんて、考えている時、ふと思い出したのがパン部のみんなの顔でした。
東京で最後にやった、ワークショップの打ち上げがあって、おいしいカレーがあるっていう噂を聞いて、
こっそり、お邪魔しました。
最後だっていうことで、これで終わってしまうことを悲しいという、楽しかったからこそ、悲しいと思うみんなの気持ちだとか、
パン部のみんなの思いやりだとか。
そんなものをすごく感じて、大小さんすごいなあ、すごいことしているなあと、思いました。
この子たちの大切な時間を、大小さんはこんなに作ったんだなと。

悲しそうなみんなの顔を思い出して、そうだパン部のみんなにもう一度集まってもらおう。
そう、思いました。

ちょっとでも関わらせてもらえて、本当に感謝いたします。
さあ、みんなで大人の文化祭に出るよっっ。

みんなを見ていると、いまはいましかない大切なものなのだと痛感させられます。
最後はカラフルに。
パン部は永遠です!!

 

<phro-flo>映画『夏の終り』完成披露試写会用に浴衣を染めました

夏の終わり

舞台挨拶用(8月14日)の浴衣を制作しました。
映画で使用された柄を、満島ひかりさん、小林薫さん、綾野剛さん、熊切和嘉監督
のご要望をお聞きし、それぞれの方に合わせて制作しました。

今回、お一人お一人にお会いする機会を頂き、その方だけに1枚を作るという経験をさせて頂きました。
最後どなたに着て頂けるのかわからないで作る普段とは真逆で。
だけれど、その方の気持ちを汲むというのは、普段自分がデザイナーの気持ちを汲んで物作りをするその日常そのもので。

個人的には満島さんの浴衣がとても好きです。
地染めを実は何度もやり直したんですけど、 全部手で染めて、柄の流線上に、地ムラが自然と見えない程度、実は入る様になっていて。 何より、あの紺の中の赤みが僕はすごく好きで。夏の終りの夕焼けのようで。
満島さんが一番映画のことを考えられていた気がします。
満島さん、綺麗だったなあ。ゆかたが喜んでました。
お人柄も本当に噂通り素敵な方だった。

綾野さんはイメージのある人でした。
頭の中にイメージを描ける人。
そうして、役も作っているのかもしれないと感じました。
打ち合わせでご本人は抽象的な言葉で申し訳ないと言っていたけど。
綾野さんは頭の芯にイメージをしっかり作ってそれについて語ってくれるから、
僕はだからそのイメージについて覗き込めばいいだけでした。
幸福なほどやりやすかったし、
僕のやる気に火を付けてくれるというおまけまでプレゼントしてくれました。
なんというか、仕事していて、そうやって言葉に仕切れない意識を共有できる相手と何かを出来ることは本当に幸せで。
どう作ればいいか、最後どうまとまればいいか。 全部見えている。
そこに僕も確信があるし。 そういう感覚で出来たこと、すごく、幸せな時間でした。
何より、何度も言ってくださった
「浴衣は大河ドラマの撮影の時とかに着るくらい。でも、これは着たいですね」
という綾野さんのコメント本当にうれしかったです。

小林さんのは実は一番手間掛かってて難しくて。
小林さん必ず、おれよくわからないんだけどって言われるんですけど。よくわかられているんです。
出来上がった浴衣見て、これ緑混じってるよねっていわれて。
実は緑いくつか隠し入れていて。
でも普通わからない。
色がすごく見える目を持っていらっしゃるんだなと。
色の組み合わせ、すごい悩んで。
茶色だけじゃ渋さは出ても、涼しさや鋭さが出ない。
茶系の色ってことで進める中で 、さんざん考えて緑が混ざり込んだらいいかなと。
ベースは薄い生成りなんだけどただグレーでも茶でもなく、ほんのりほんのり赤。
舞台挨拶でも、よくわかんないんだけどって、前置きしながらすごくいい色だと思いますって言ってくださっていて。
さんざんテストを繰り返したので、小林さんの浴衣作る中で、技術がひとつ増えました。

染め方のベース、お二人がよいと言ってくださった、phro-floの錆の虚像が起点で。
綾野さんと小林さん同じ方法が起点なのだけど。
綾野さんはより有機的に自由に、混沌に勢いがあって力強く。
それに対して、小林さんの方はどう静めて、落ち着かせて大人のイメージにするか。固すぎても駄目で、柔らかすぎても駄目。暴れさせても暴れさせっぱなしじゃだめで。
綾野さんの方はとにかく振り切る、作るときもテンション上げて、出来る限りのエネルギーを注ぎ込む感じ。
それに対して、小林さんの方は、天国と地獄の間にロープを渡して、どちらにも落ちないように渡っていく感じ。

あっ、ちなみに監督の熊切さん、どこに出没するか教えて頂いたので、呑み友達になって頂くために追いかけます。
はじめて会った気がしないと僕が心の中で思ったら、監督がそう言ってくださり…

ちなみに、今回の4着のような浴衣は、世の中にはなかなかないと思います。
多角的な技術を引き出しから出したし、何より生産性がなくて流通はできない。 どれも大喜びで手間かけ過ぎました。
いつも物作りする時って、どんな時もどこかで、生産する時のこと考えるんですね。
手間が掛かってもいいような工賃の加工でもそれは考えます。
自由の横に合理性を置きながら、サンプルを作るんです。
でも、今回は一度しか作らないって知っていたから、ただ自由でした。
ただ、自由に作るってすごい心地よいことでした。

どれもそれぞれの方に向けて、エネルギーを吹き込みました。
普段は誰が着てくれるのかわからないでものを作るけれど、今回は着てくれる方のためだけの物作り。
そういう物作りって作り手にとってもすごい贅沢なことだなと感じました。

染めや型作りを学ぶために、満島さん文化服装学院に通われていたという話で。
太田先生や猪坂先生、冊子にも載っていて、 染めの指導をされていたみたいだけど、満島さんすごい真面目で熱心な方だったと聞きました。
太田先生の手を知っている人だけにわかることがあったり。あれ知っている人にはすぐわかる。

そんなこんなで、
映画『夏の終り』は8月31日から全国ロードショーです

夏の終り公式サイトはこちら

今回、こういった機会を与えてくださったすべての皆様に心より感謝いたします。

<petite robe noire>Studio Voiceへのインタビュー掲載と動画について

Studio Voiceにて、制作インタビューを掲載していただきました。
paint
プティローブノアーさんと行っている物作りについてです。

「でもこれって何かと言ったら、物作りって面白いよねってことなんですよ。世の中の流れとは真逆と 言われようと、僕らの方が正しいと言い切れます。だって、物作りは楽しいんですから。世間のルールに縛られて、つまらない日常にしてしまう必要は全くな い。面白いと思えることから世間を切り崩していけばいい」

ということや、あれやこれや。が掲載されています。

以下記事へのリンクです。その下が動画へのリンク。

http://studiovoice.jp/wordpress/refactored/features/petite_robe_noire_10/image.php

現在平行して、伊勢丹のサイトにて動画が流れています。

http://isetanparknet.com/news_event/page72.html
http://www.youtube.com/watch?v=EbSiIUdhujw

伊勢丹新宿店本館3階=センターパーク/ザ・ステージ#3 にて
8.14 wed – 8.19 mon
2013/2014の秋冬の服、アクセサリーの新作、それと本、充実した内容になっています。

阿部さん、立花さん、生産管理の薮田さんに、プレスの山下さん、その他たくさんのスタッフの方々、素敵な物作りに関わらせていただいたこと、心より感謝いたします。

かわいい布博 トークイベントに参加します。

【奥田染工場 奥田博伸「小さな町工場が伝えるものづくり」トークライブ】
8月4日(日)14:30~ ステージにてトークライブ!

トークイベントの詳細は以下のリンク先にあります。

http://textilefabrics.jp/archives/988

【奥田染工場 奥田博伸「小さな町工場が伝えるものづくり」トークライブ】
8月4日(日)14:30~ ステージにてトークライブ!

【奥田染工場 奥田博伸さんに聞きました】
01 ご来場いただくみなさまに向けて自己紹介をお願いします。
昔 は織物の町とも呼ばれた、東京は八王子で奥田染工場というプリント工場を営んでいる奥田博伸と言います。元は江戸で呉服屋さんをしていて、染物屋になって から自分で4代目になります。工場としては、時代と共に、様々なデザイナーの方と関わらせて頂いてきました。世の中に素敵な布をどうしたら発信できるの か、どうしたら僕らの布を生み出す日々がより素敵なものになるか、そんなことを考えながら毎日を過ごしています。

02 ステージではどのようなお話をしてくださいますか?
自分の工場での物作りがどういった物か。自己紹介もかねてご紹介できればと思います。

それと、個人的に「phro-flo」という浴衣のブランドをやっているのですが、今シーズンその中で、物作りの現場の写真の展示をしました。フォ トグラファーのkatomiさんには、世の中には工場の作業を撮ったような写真は多いけれど、そうではなく、いつか消えてしまうだろう、今だからある、工 場と人と物が関わる、その空気感を切り取ってもらえないかとお願いしました。そういった中、導かれるように訪れた町田の注染工場にて、とても運命的な出来 事がありました。注染という染め物を行う工場の裏話や、物作りの過去や未来について、写真と共に触れたいと思います。

03 会場にお越しになるみなさまへ一言メッセージをお願いします!
物っ て今も、どんなに機械化しても、やっぱり人が関わって作っているんですね。どんなものでも同じです。生まれてくる布にはそれぞれにエネルギーがあります。 それって関わる作り手の想いによって吹き込まれていくものだと僕は思います。物に触れるとき、表面的な部分だけではなく、なんだか素敵だなと感じる感覚が あると思うんですね。その正体がいったいどんな物なのか、自分の話の中で、その一片でも感じてもらえることが出来たら、幸せなことだなと思います。つたな い話にはなると思いますが、どうぞよろしくお願いします。

以下はかわいい布博についての詳細です。

第二回かわいい布博 概要

日程:8月2日(金)~4日(日)
時間:11:00 ~ 17:00
出展者数:約40組

開催場所:町田パリオ 4F
〒194-0022 東京都町田市森野1-15-13

入場料:300円(ただし小学生までは無料)

 

かわいい布博とは、イラストレーターやテキスタイルデザイナー、染色作家などのクリエイターが生み出す色彩豊かな“かわいい布”や、布を使ったさまざまな雑貨が集う博覧会。2013年に2月に行い、好評を博したイベントが再び町田パリオにやってきます!

8月2日から4日の3日間、屋内の会場は、華やかな布で包まれます。だれもが思わず「かわいい!」と胸をときめかせるプリント生地、ヴィンテージテ キスタイル、手作りの布、それらを使って生み出される衣類・小物といった、 素晴らしき作品が場内に溢れ、素敵な空間となることでしょう。

今回はさらに、心躍るかわいいブローチを集めた「かわいいブローチ博」と、手紙社がプロデュースし制作した、8組のクリエイターによるオリジナルテ キスタイルの発表も行ないます。その他にも、デザイナーによるトークショー、アーティストのライブなどのステージイベントや手作りのワークショップも盛り だくさん。

ご来場いただくみなさまと布ものクリエイターが巡りあう交差点となる、もの作りの情熱に溢れたイベントにぜひともお越しください!

 

アクセス等、その他詳細は以下のリンク先にあります。

http://textilefabrics.jp/about

 

ドリフターズ・サマースクール2013に講師として参加します。

今年の夏は、なっせんの夏。

なのかどうか。

夏のイベントに参加します。

夏は遊びますが、あんまりはたらかねえぞと宣言しつつ。
今年は文化二部のワークショップ盛りだくさんの夏ですが。

そんでもってこの得体の知れない。ワークショップにも参加します。

町並みを切り取るような布のプリントをその土地でしたいなあと企てている。
あんまりまだ詳しくはいえませんが。
仲間募集中。
そんな、わくわくどきどきなプリント計画を立てていまして。

そのちょっとプロローグみたいな気分で。
機材と仲間と共に、本イベントに参加します。

建築、ダンス、ファッションが絡まる。なんだか得体の知れない感じです。

7月16日までで、参加者募集中です。
詳細は以下の引用を参考にしてください。

ちなみにそれとは関係ありませんが、
その先のプリントイベントの協力者も静かに募集しております。
ちっちゃい自動車にいろいろ詰め込んでゴトゴト田舎を走って、機材を出して青空の下、わはわはいいながらその場でデザインして、プリントしてばあちゃんとじいちゃんにプレゼントして帰るような。
ただビールが飲みたいだけの会です。
※イメージです。イベント内容はまじめな話だときっと違います。

 

NPO法人ドリフターズ・インターナショナルとは?
都市の隠れた回路を探り出す「漂流」というアイデアに刺激を受け、中村茜、金森香、藤原徹平の3人の理事が設立しました。
建築・パフォーマンス・ファッション・アートなど様々なジャンルから流れてくる、エネルギッシュな表現の出会いの場を作り出し、ダイレクトかつメトロポリ タンで、ポップかつまじめなシーンを、ぱたぱたと近所の路地裏から実現させ、あるいは海外に漂流させ、また海外のまだ見ぬ表現を日本にまで漂流させるよう な時間を作り出します。

2010年から毎夏開校し、多分野を横断した実験的な表現に各分野から注目があつまる「ドリフターズ・サマースクール」が、今夏も開校します!
4年目となる今年は、昨年までとはかたちをかえて、より領域横断的で実験的な創作を通じて、自由でダイナミックな新しい表現を追求します!!

<これまで以上に実験的な今年のサマースクール>
●ダンス・建築・ファッション・制作などジャンルによるコース別けを無くし、専門分野もバックボーンも違う人達がひとつのグループで創作します。よって、メンバーが専門分野を越えて創作に取り組み、対話を深められ、ボーダレスな創作環境でクリエーションができます。
●最終成果発表を「公演」と限定せず、 発表のスタイルから受講生たちで作り上げていくので、誰も見たことがない新しいジャンルの表現に取り組めます。
●受講生60人から25人の少人数制とし、ひとりひとりががっつりクリエーションに参加できます。

監修講師:篠田千明(演出家/作家)
講師:飛田正浩(spoken words project)、佐々木文美(FAIFAI)、石川初(ランドスケープデザイナー)、菅俊一(研究者・映像作家)、textile×design notes(奥田博伸・近藤正嗣・シミズダニヤスノブ)、藤原徹平(建築家)、宮村ヤスヲ(グラフィックデザイナー)
講師プロフィールはこちら  ※ほか講師後日発表!

スクール・プランナー:中村茜、金森香、藤原徹平、宮村ヤスヲ、仲野安紗(NPO法人ドリフターズ・インターナショナル)

スクール期間:7月20日(土)~9月29日(日) 毎週火・土曜日
最終成果発表:9月21日(土)、22日(日)
スクール会場:森下スタジオ
最終成果発表:横浜市内

今年のクリエーションテーマ:「移動」
私にとっての移動は、ある一点から一点へ、座標が移ることではない。
びゅんびゅんごまを垂直にしてまわすのをイメージしてもらって、ぐーん、ぐーん、とリズミカルにまわっている時の力の係数のことだ。
強くまわすために力強くまわす、ということでもない。あくまでバランスを保ちながら、係数を少しづつ調整してまわす。
人のGPSと土地のGPS、実際の場所性から切り離されても、もともとはつながっているものだから、その二つはふたつの盤となって、お互いにジャイロ効果を及ぼし合っている。
移動から生まれる物語は、その係数の閾値から生み出されてくるものとなる。
篠田千明(演出家/作家)全文はこちら

<今年のサマースクールの魅力>
●「移動」をテーマに、作品発表形式にこだわらず自由な発想で実験的なクリエーションができます。
●作品全体を監修する講師・篠田千明(演出家)が、ダンス・演劇はもちろん建築・ファッション・デザイン・アートプロデュースを志す受講生ひとりひとりの創造性を引き出し、受講生とともにインパクトのある作品をつくりあげます。
● ファッションデザイナーの飛田正浩(spoken words project)、textile×design notes(奥田博伸・近藤正嗣・シミズダニヤスノブ)がファッションだけでなく、グラフィック・空間美術などにも応用できるシルクスクリーン印刷をレク チャーします。
●演劇・ダンス・舞台美術・建築・ファッション・グラフィック・制作など各分野の最前線で活躍する講師と様々な角度から意見交換できます 。
●今後も 追加講師あり!多面的にクリエーションの手法を学べます。
●期間中スタジオを借り切っているので、授業日以外でも自由にクリエーションができます。

<応募方法・概要>締切:2013年7月16日(火)締切
応募方法:以下の項目を info@drifters-intl.org までお送りください。
件名> サマースクール受講申し込み
本文> 氏名(ふりがな)、住所、電話番号(携帯電話)、連絡用メールアドレス、年齢、性別、経歴、志望理由(400 字以内) ※書式自由
添付> 顔が分かる本人写真(スクールにて受講生・講師に配布する名簿に使用します)

応募条件:経験不問。ほとんどの日程の授業に参加でき、授業日以外も積極的にクリエーションするやる気のある方
受講料:37,000円(授業初日に受付にてお支払い頂きます)
募集定員:25名 ※定員を超過した場合は選考となります。
※6/22(土)入学説明会&相談会のレポートはこちら

問い合せ:NPO法人ドリフターズ・インターナショナル
03-6447-1062 / info@drifters-intl.org

日程:
スクール期間:7月20日(土)~9月29日(日) 毎週火・土曜日
最終成果発表:9月21日(土)、22日(日)
会場:
スクール会場:森下スタジオ
最終成果発表:横浜市内
クレジット:
スクール・プランナー:中村茜、金森香、藤原徹平、宮村ヤスヲ、仲野安紗(NPO法人ドリフターズ・インターナショナル)
事務局:兵藤茉衣
協賛:アルタカ株式会社
助成:公益財団法人セゾン文化財団、ACY先駆的活動助成
主催:NPO法人ドリフターズ・インターナショナル

色が深く染まる魅力について phro-flo

布をプリントする世界において、色は奥深く染まれば染まるほど綺麗だと言われます。

柄染めでは奥まで染めようとするほどに、写真的な精細さを表現するのが難しくなり、逆に写真的な精細さを表現しようとすると、表面的な部分にしか色が入らないという傾向があります。
細かい粒子で染めれば、写真的な印刷になりますが、細かく横に広がらない分、布の奥にも進みにくい。
そうなると、上っ面が染まった布と言うことになる。
感覚的には、染めという響きより、印刷というイメージに近いというか。染められた布と言うより、印刷されたというイメージですね。
それは身につける色面の表現としてどうしても弱さを持ちます。

2013年の柄のひとつ、桔梗の柄は注染という技術で染まっています。
120年続いた注染屋さんの最後の仕事になってしまったと言う話はここで触れました。

注染というのは折り返して、注ぎながら染めるため、裏表がなく染まる技法です。
ただその分、絵際や精度に難点があったりします。
主に手拭いに使われる技法で、後に浴衣へと広がっていきました。
浴衣には、注染で染める粋さと言うのがあります。
やはり、第一義的には、裏表のない染めである綺麗さや色の確かな強さというのがあると思うのです。

インクジェットがこれからより技術的な向上も進み、普及して主流の印刷方法になっていく、その中でそういったデジタル機器から出るような微細な柄が増えるほどに、注染のほっこりとした染めはむしろ価値を持つようになって来ると思うんです。
ましてや、注染の場合、決して同じものが続くわけではない。

去年、初めて自分で注染という技法をお願いして、他にはない独特でそれしかない魅力で染まる技法だなと感じたんですね。
すごく暖かみがあって、優しくて、染めの表現ってこんな風な魅力もあるんだなと実感しました。

そうなると、自分の技術でもある、シルクスクリーンで、その持っている魅力の一端を、どう表現するのか挑戦してみたいと思ったんです。
量産的な思考や、手間を考えたらあまりやる価値はないのかもしれないけれど、自分の範疇であれば、十分試すことが出来る。
たとえそれが仕事にならなくてもいいんです。表現としてやりたかったんです。
そのための浴衣ブランドだったりもして。

3つの柄、撫子、縞撫子、無地名菊。技法をそれぞれ使い分けてシルクスクリーンで表現しています。

特別で新しい技術を使うと言うことではないです。
単純な技術の組み合わせだったりします。
裏表なく染める、ぼかしをなめらかに染める。
どちらも、注染が得意として、シルクスクリーンが不得意としている要素です。
不得意と言うことは、出来るけれど、手間が掛かると言うことです。
ただそこをやってあげると新しい発見があったりもします。
さらに、キチッと柄が出ると言うより、手で型染めで、そういう緩やかなブレの表現も出したいと思いました。
これもやっぱり、自分のブランドだから出来ることです。受けた仕事だったら、怖くて手をなかなか出せません。
毎回どう出るかわからないですし。
捨てられがちな、そういう領域の染めが自分が好きだというのもあります。

2013年の今期のシーズンは、すべての柄が、裏表がない染めになっています。
もしくは裏表があっても、裏もまたそのテクスチャーが美しい。
という表現です。
同じ柄でも、色によって方法を変えていたりします。
たとえば、無地名菊の黒は、わざと、色が抜ききれないように、また色が白く抜けてしまわないような加工をしています。

色が奥まで入れば、色の力が強くなる。
色が強く、そして少し自由に遊んでもらう。

吉祥寺の展示会場では、光が通り抜けて、通り抜ける風に布が揺らいでくれるように、飾りました。
布を光が通り抜けるとき、光は色を運びます。
光が透けると、その色の力の差はより明確になります。

色が染まっているって、いいなと思いました。
花暦という今回のテーマ。
古い物と新しい物が優しく融合してくれるような。

さらに今回の技術で出来ることを前進させてみたいなとも思っています。

色が裏表なく、奥まで入る。その価値や感覚を、是非実感して頂ければと思います。
やっぱり違います。
ああ、染まっている。という感じがするんです。

新宿伊勢丹での販売は7月2日までです。それで夏休みが来ます。
夏だ夏。

僕はもう少しで、仕事を放り投げて、遊びに行きます。

ああそうそう、浴衣を着るってすごく良いですよ。ちょっと上がります。やっぱり日本人だなあ。と思うわけです。
この先も、身につけたときに心からそう感じられる、一着を作っていけることが出来たらいいなと思っています。

DRIFTERS INTERNATIONAL トークショー及びワークショップ WEBマガジン掲載

先日のトークショーの内容がWEBマガジンに掲載されました。
左から飛田さんに、山田うんさん、で、僕です。見えない左側に、金森さんがいます。
山田うんさんとは初対面でしたが、とても魅力的な方で、お話しできて本当にうれしかったです。

僕はやっと後半で話し出します。
浴衣最終日と重なって、ギリギリでたどり着いたため、話を聞いている間、ずっと、のど渇いた。のど渇いた。と思っていました。
すいません。関係ない。
表現についての内容が多くておもしろいです。

前半
http://drifters-intl.org/magazine/report/1136

後半
http://drifters-intl.org/magazine/report/1182

 

「ぴゃるこx spoken words project/JUBILEE/hachibunno5 「シルクスクリーンしよう」WORKSHOP」レポートはこちら
http://drifters-intl.org/magazine/report/1236

ドタバタのまま、そのまま打ち上げに行きました。
ワークショップ、協力していただいた皆様、本当に有り難うございました